駆けつけた警官や刑事が、咲希の腕を掴む女性に見える犯人を、取り押さえていく。


警察の人間が大勢来たことで、さすがの野次馬もヤバイと思ったのか、さらに広がり遠巻きに様子を見たり撮影したり…


俺は咲希が撮されたりするのは我慢ならなかったから、呆然とする咲希の顔を俺の胸に抱えるようにして、俺も俯いた。


「咲希っ、義希っ!」


人垣に邪魔されなかなか近づいてこれなかった竜斗が、ようやく傍に来た。


俺は状況を説明し、なるべく端によって咲希を、竜斗に託して腕を離した。


竜斗は少し咲希の顔を覗いたが、俯いて目を閉じて力の抜けた咲希を包み込むようにして、周りに背中をむけ、事態が落ち着くのを待った。


それから10分しないくらいで、山本刑事がやってきて「とりあえず、ここは離れます」と車まで案内してくれた。


…*…*…*…*…*…*…


警察での聴取は明日以降になり、咲希を病院へ連れていき母親達も合流、人気(ひとけ)のない待合室でようやく、ストーカーは捕まった…終わったんだと、一気に力が抜けた。


咲希は目は覚めていたが、極度の緊張と興奮となにより恐怖体験により過度のストレスで話が落ち着いてできないため、これから導入剤で眠らせるって。


『明日になったら笑顔で会おうな…。』