桜井君の直ぐ横にクラスメイトの中野君が並び、一緒に歩き出した。


『友達とは中野君のことか』と内心で納得しながら、遅れないように小走りになりながら、二人についていく。


食堂内に入ると、ここでも廊下のような痛い視線を感じた。


さっきまでは、“彼氏”にドキドキしすぎて、周りが見えていなかったが、ほんの少しだけ落ち着くと、廊下も教室も、すべての場所で見られているのがわかった。


『あぁ…どうすればいいの?』


スタスタと空いている席を探して座ろうとする二人を、どうしても歩き出せない私は、ただ見ていた。


食堂の人混みでぼんやり立っていた私は明らかにジャマで、後ろからきた誰かにドンッと押されてよろけてしまった。


席から私を見ていてくれた桜井君が、「大丈夫?」と迎えに来てくれて、腕を引かれてどうにか桜井君の横に座った。


…“あんたなんか不釣り合い”…


ぶつかられた時に言われた一言が、私の中をぐるぐるしていて、お弁当を開けることもせずに、俯いて座っていた。


「星谷さん、俺のこと、わかる?」


前の席から中野君が顔を覗き込むようにして、聞いてくる。


『あ…いけない…』そう思い、慌てて顔を上げて中野君に「はい…同じクラスの中野君…です。」と答えた。