樹とご飯を食べた後、あたしは車の中でぐっすると眠っていた。
もちろん樹とお母さんの会話なんて聞こえるハズもなくて、どんな会話をしてたのかを知らない。



もちろんその後の記憶なんてない。
でもそんな時、樹の囁くような声が聞こえたような気がした。



「……好きだよ、柚子」



これは幻覚??幻聴??
なにかの間違い??



そう、きっとあたしの思い込み。
でもたしかにそう聞こえたような気がした。



だけど、だけどね。
なんか樹の温もりを感じたような気がしたの。



「……ん」



朝目が覚めると、寝ているあたしの体には布団が掛けられていた。
……きっと樹だ。