乱暴に開けた事を謝罪しながら、セードルフはエメシェを中へ迎え入れる。


「そうだったの・・・牧師様、帰ってみえるといいのだけど。」


一通り説明すると、エメシェも不安げな顔を隠せないようだった。

飢饉が続き、街の中まで物騒になりつつある。
それに、牧師が出掛けたのは夜だった。

葬儀があると聞いただけで、何処で行われるのかなどは一切聞いていない。
セードルフにとっては、葬儀で牧師が出掛けるなどいつもの事だったし、亮一郎は仕事についてあまり深く知りたがりはしなかったからだ。


こちらの状況は話したものの、珍しくエメシェが昼間に尋ねてきた理由をまだ聞いていない。

昼食の途中だった為、暖炉の中の鍋から少しだけ野菜の浮いたスープをカップによそい、セードルフは椅子に座らせたエメシェの手に渡す。