「貴方は、愛してるって言ってくれないのね」


彼女は無機質な声で呟いた。


「愛だなんて。そんな無価値なもの、囁く気にすらなれないよ」


僕がそう言うと、彼女は可笑しそうに口角を少し上げた。


「愛に価値を見出だす方が間違ってるのよ」


熟れた苺の様な赤が言葉を紡ぐ。


「じゃあ何故、人は愛を欲しがるの」


僕は彼女の形の良い唇が艶めかしく動くさまに見とれた。