「…だから…、また来ます。今度はこそこそしないで、正々堂々と。」



「……できればそうしてくれ。」




「…ふふっ…、楽しみが増えました。何だか…頑張れそうな気がします。今ならネタが沢山浮かびそうだわ…!」



「…そっちを頑張ってどうすんだよ。」



「………大丈夫です。ちゃんと…夢は叶えますから。」



「………。」



「『ニシハル』を越える数学教師、です。」



「………なれるもんならな。」




「…その台詞……、近いうち後悔しますよ…?」



「はいはい。」



「…じゃあ…、先生、また。」



「『先生』じゃないって言ったじゃん。」



「いーえ、『先生』です。」



「………?」






彼女はニコッと笑うと。





俺に飛びついて……



ちゅううっと首筋に吸い付いた。





「……??!」





「今度こそ、女除けです。では……、これにて!………あばよッ!!」



「……ああ、またな。」














彼女は何度もこちらへと振り返って……、



姿が見えなくなるその時まで、手を振り続けていた。
















彼女がいなくなったその部屋は……



がらんとしていて、とても…物寂しく感じた。








「……さみしくなるな………。」