途端に……、
どこからか、携帯の着信音が……
聞こえてくる。
俺の物では……ない。
キッチンに置かれたソレは。
俺が手にとってもまだ…メロディーを奏でていた。
「馬鹿…、あいつ、忘れていったのか。」
画面に、電話の相手の名前が…表示されていた。
「…………。」
通話ボタンを……押す。
『あ、もしもし~一歩?』
男の…声。
『…お前今どこにいんの?』
「………。何か用?つーか、久しぶりだな。元気か?」
『………。…げ。もしかしてその声…ニシハル?ってことはもしや…またそっちに行った?』
「……は?『また』?」
『うん、禁断症状出てたから…会いに行く頃だと思ってたけど…。』
「…………。」
『な~んかウダウダ悩んでたから言ってやったんだよね。』
……悩んでた?
『女になって来いって。つーか、アンタらよくそれで続いてたよなー…。』
「……長南。お前、あいつに手出して…」
『…る、わけないっしょ。今や相方っつーより悩み相談室だよ。手を出したくても頭ん中ニシハルのことばっかりで…入り込むスキもないっての。』
「………。」
『ねえ、あいつ色っぽくなったっしょ?名アドバイザーがいるからな。』
「………。別に…あいつはあのままでいいっつーの。」
『そう思うなら…、言ってやってよ、ちゃんと…。ニシハル覚えてないの?』
「…は?」
『あいつの…宣言。』
「…………。」
『ま、いいや。てか、一歩に伝えてくれる?どうせ今ネタなんて書けてないだろーから、二週間後のコント披露は俺ピンでいくって。』
「…………。」
『……用はそれだけ。先生も元気そうで何より。…じゃあ…、そーゆーことで。よろしく伝えて下さい。すみません、これからい~トコロだろうっていう夜分に。』
「ああ、確かに。」
『言うね。』
「遠慮してたのが馬鹿らしくなったからな。」
『あっそ~、じゃあ、素敵な夜を♪』
電話が…
ぷつりと切れる。
禁断症状……?
宣言……?
よく解らないけど……、
もう、そんなの…関係ないじゃん?


