「……。先生、何を考えてるの?」
珈琲を口にして、
マグカップを手に持ちながら……彼女は尋ねた。
その言葉、そのまま返してやりたい。
「……イヤ、別に。てか…、美味いか?」
「…はい。」
口元が…綻びる。
「ですが……」
お……?
三船節…、いよいよ出るか?
「お砂糖とミルクをいただけますか?」
「…………。」
「先生はいつもブラックですもんね。私はちょっと苦手なので…。」
「ああ、そうだよな。悪い、今持って来るから。」
徐に立ち上がり……、
俺はまた、キッチンへと向かった。
しばらくキッチンを物色するけれど。
普段使わないものが…、あるはずもない。
「……。ミルクはないな。砂糖だけで大丈夫?」
「………。はい。」
彼女はカップに視線を落として…、
小さく、頷いた。


