結婚しました!

ちらりと、俺に寄り添って、

うつらうつらとする音々を見る。


そんな安心しきった顔して、

俺がいなくなったらどうするつもりなんだ。

俺は逃げる天才なんだぞ。

音々の頬を突っつくと、

「あ…八起様?」

「もう着くぞ。」

「はい!」

バサッ

慌てて立ち上がって膝に載せた書類をを落とす。

「きゃ、ああ、すみません。」

慌てて拾い集める音々。

拾い集めながら、くすりと笑う。

「八起様。私嬉しいです。」

「ん?」

「八起様の家に私は帰ってもいいんですよね?

 もう、どこかに行かなくても、居場所を探さなくていいんですよね。」

それはもう嬉しそうに。

そうだった、こいつは行くところもなければ頼るところもない。

小さな体をもっと小さくして、あの家にいたのかと思ったら、

今まで俺を翻弄したオンナたちとは違うということに気がついた。

俺が拾って、俺がそばに置いていた女だ。

俺は音々の頭をそっと撫ぜ、

「ああ。」

といった。