「あの…」


「なんだね?」


「それは、今のことを忘れちゃうとか、

 どこかに行かなくちゃならないって

 言うのじゃないですよね。」


「うん。何も変わらないよ。


 少し忘れてることを思い出すってことだよ。


 もし、怖いなら、このままでもいいんだよ?」



音々はは少し俯いて、それから、はっきりした声で言った。


「私、八起さんといたいんです。 


 なのに、私、優しくされると

 おかしくなったり、

 嬉しい気分で眠ると必ず、

 悪い夢見たり、迷惑かけてばっかり。


 そんな私嫌なんです。


 だから、

 変わりたいです。


 忘れてることがあるなら、

 思い出したいです。


 思い出して、そして、

 八起さんを大切にしてあげたいです。」