「お綺麗ですわね。」


仲居さんが支度をして連れてきた音々は

十二単。

それは絵に書いたような可愛らしさ。

俺はぼうっとしてしまう。


それに比べて俺は白塗りのチンドン屋のようだ。

どこかで、このカッコ見たぞ、

あ、…おじゃる○だ!

あの三等身のキャラクター

いい年をしてコスプレか?


「まあ、旦那様はそれなりに凛々しくて…」


嘘をいえ嘘を、

中居の苦笑する顔を横目に、

嬉しそうな音々の顔が見られただけ良しとしよう、

と思い直した。


かつらの長い髪が妙に似合って目が離せない。


「まあ、新郎様は新婦様に見とれてらっしゃって、


 初々しいですわね。」


クスクス笑う仲居はうざいと思ったけど、

本当のことだしょうがない。