天国のマシュに会いたい

元気なマシュは、鋭い目つきで精悍な顔つきをして、私の作った道具の獲物から目を離すことはない。

私は仕事で疲れていても、本当に面白かった。

三月の末になって、私と千恵子が仕事の休みの土曜日に猫用のハーネスを買いに出かけて、青い紐で作られている、普通そこいらを散歩させている犬にしているようなハーネスを買って来た。

そして翌日の日曜日の昼過ぎにマシュにハーネスを取り付け、少しだけ外へ出し庭の中を散歩した。

以前から玄関のドアの所で外へ出たそうにしていたわりには、いざ外へ出てみると慎重である。

数歩、歩くと玄関の前で座って周りを見ている。

しばらくすると歩き出したが、またすぐに座って周囲を見回している。

結局、その日は、外で居たのは三十分くらいで、あったろうか、玄関から出て、まっすぐに飛び石伝いに庭を歩き、道路のところまで来て引き返した。

私の家の前の道路は、家から左へ三軒奥へ過ぎた所で行き止まりになっている。

だから基本的には三軒分の車しか通らないので滅多に車の通らない道である。

家から右へ五十メートルくらい行くと、町道に出て、車が、けっこう走っている。

その町道を走る車を、マシュは目で追って見ている。

そして家の正面には、百五十メートルくらい先に鉄道が通っていて、たまに電車が走るので、その走る電車も、マシュは目で追っていた。