天国のマシュに会いたい

するとリビングから
「コツ、カツ、コツ、カツ・・・」
とマシュの歩く音が近づいて来て、キッチンのカーテンドアの前で止まった。




私がカーテンドアを開けるとマシュが、ちょこんと座っていて
「えへ」
という顔で私を見ている。




キッチンにいる私のところへ来ようとしたのだが、身体が不自由なので、以前のように、カーテンドアの下をくぐって入ることができないのだろう。




もう散歩をすることも不可能なのに・・・




私は、そんなマシュがかわいそうで、いとおしくて抱き上げると、ソファの上まで連れていくと、そっと身体を撫でてやるのだった。

私は多少、姿は醜くなってもマシュがかわいかった。

かわいくて、かわいくて、仕方がなかった。

明日から千恵子は五日間の盆休みだが、私には仕事の依頼が来ていた。

明日から仕事に行かなければならない。

ところが、まったく仕事に行きたくない。

仕事をしなければ生活できないのであるが、まったく行きたくなかった。

精神科の先生が話をしてくれたのでは、仕事へ行きたくなければ、いかずに静養するか、半日だけ仕事をするとかして、とにかく心を休めるように言われているが、仕事をしなければ生活費が入ってこない。