天国のマシュに会いたい

肥大型心筋症というマシュの病気は、遺伝性疾患と考えられているらしく、早く発見できれば余命を延ばせるらしいが、マシュは肥大型心筋症から発症する病気になってから病院に来ている。

それも最悪の症状である腸骨動脈塞栓症という両足の付け根の動脈が詰まってしまう病気である。

そこから足の先へ血が流れなくなり両足はだめになるし、血が行き場を失って身体の上体に溜まり、肺に水が溜まるし血圧がはねあがる。

致死率が非常に高く、動物病院の先生は見た瞬間に、諦めの言葉を私たちに告げるほどであった。

ただマシュの若さに賭けて命だけでも救おうと治療をしている。

歩けなくなるのは承知の上で治療をしてもらっている。

その命だけでも救うのが、なかなか困難な状況である。

マシュは当然苦しいであろうが、私も精神的に相当苦しかった。

翌日の診察で先生は、まだどうするか決めかねている様子で

「血が出るのさえ止まって、そこから先がミイラ化してくれれば、自然にそこから先が、ぽろりと取れるので、どうにか出血が止まればよいのだが」
と言い、どう処置するかの結論を、もう一日延ばした。

先生に言わせれば、足の手術をするのも、命が持つか賭けになるので、なかなか結論がだせなかったようである。