最初に目に映ったのは、見事なまでのオレンジ頭。

何故か凄く綺麗に見えて、言葉も何も出て来なかった。
先に沈黙を破ったのは、オレンジ頭の、多分先輩。


「どちらさま?」
笑顔でそう宣った。
その笑顔が、何だか無性に私の気に障った。
「あの、」
「もしかして、アキラの彼女?やるなぁ、あいつも」


・・・・はぁ!?

何言ってんの、この人。
誰が誰の彼女って!?

いや、この状況で勘違いされるのは仕方ないけど。

初対面の相手にいきなりそんな質問か!!

「彼女じゃありません!さよなら、綺麗なオレンジ頭さん!!」
それだけ言い放って教室をあとにした私の後ろで、あのオレンジ君が笑っていたのを、私は知る由もなく。

体育館に戻って、八つ当たりに、アキラの鞄を持ち主本人に投げ付けてやった。