ケースから、ベースを取り出す。
「チューニングは?」
「してきた」
「さすが」
ケーブルで、アンプとベースを繋ぐ。
「渚は、俺とお前の演奏を聞いて、参加するか決めるそうだから。
何か弾け」
「えっ、はいっ?」
「オリジナル、あるだろ」
「な、何でもいいの?」
「おう」
「じゃ、じゃあ、これ……」
崇文は、急いでスコアを渡してくる。
『WORLDS END』
と、バンド名と同じ題名が書いてある。
「了解」
「あ、譜面台……」
「いらね。覚えてるから」
「マジで!?」
崇文は、半信半疑で、ギターを構えた。
深音も、こちらを不思議そうに見つめている。
渚だけは、ニコニコと笑っていた。
「ワン、ツー」
おいおい。
声震えてんぞ。大丈夫かよ。
『WORLDS END』は、そんな崇文のギターソロで始まる曲。
そのグダグダな本人から出ているとは思えない、しっかりした音が耳に入る。
……うん。
まぁまぁのギターだな。
よし。
頼むぜ、RB620。



