君と、世界の果てで



果たして、コレは、生きてるのか?


アンティークのビスクドールじゃないだろうか。


そんな錯覚を起こしたのは、俺だけではないだろう。


鼻孔に、甘ったるい花のような匂いが届く。


あまりのインパクトにぼんやりしていると、いつの間にか、イントロが終わり。


彼女が、口を開いた。



その華奢な体からは想像もつかない、力強い歌声は。


低くも高くもない、不思議なものだった。


まるで、おとぎ話の、セイレーンのような。


人の脳を麻痺させていくような、甘い声。


その声で、悲しい恋の歌を、紡ぐ。