「いねぇよ。お前が一番。」
『げっ!どうしたの?雨?雨?』
……そんなに俺が格好つけたらおかしいか。
「おぉ、降ってるな。じゃあな」
『嘘、待って!待って、待って!』
「バーカ。無駄に心配すんじゃねぇよ」
『最初から、そう言わないから……ビックリしたじゃない』
「はいはい。悪かったな。
あ……悪い、本当に時間だわ」
腕時計は、休憩残り5分を指している。
『あ、うん……じゃあ、頑張ってね』
「おう……また、明日な」
『うん……あれ?』
「なんだよ」
『君の為に歌うよ、ベイベーとか言わないの?』
……言ったら吐くくせに。
「……前に言っただろ」
『言ったっけ?』
……わざとだな。
深音の小悪魔な顔が浮かんだ。
「……お前の為だけに、歌う。
聞いたか、バカ」
『うん!』
電話の向こうで、ふふふと笑う声がした。



