渚が、真剣な顔で言った。
目線は相変わらず、床にあるが。
「俺なら……無理だよ。重すぎる。
こっちがボロボロになっちまう」
「渚さん、そんな……」
「好きな子が、そんな状態になったら……
俺はきっと、逃げちまう。
翼は、すげぇよ」
崇文はそれきり、言葉を失った。
もし、好きな人が、死の縁に立たされていたら。
「なんでだろうな。
一度離れて……結局、後悔したんだ。
そばにいてやれば良かったって。
陸の事があったからかもしれないけど」
重い沈黙が部屋に落ちた。
その沈黙を払拭するように、崇文が一番先に口を開く。
「……うれしいって言われるメールって、どんなんすか?」
「っ、うるせぇ!」
「よし、その辺はランチしながら聞こうじゃないか」
「聞くなって!」
俺は笑いながら家から玄関に向かう二人を、追いかけた。



