俺は、遺書の写真を手に持ったまま、泣いた。 壊れたベースがハウリングしたような音が、部屋に、内耳に、反響する。 それは、やっと出た、自分の叫び声だったのか。 自分が壊れる音だったのか。 この先も、思い出せる事はなかった。 ただ、覚えているのは。 陸の、最後の言葉。 『ありがとね。バイバイ、兄貴』