紗江の言葉を思い出す。 『彼女を好きになんかならなきゃ良かったと思う日が来る』 嘘だ。 嘘だと言ってくれ。 あいつらは、何かを勘違いしているのだと。 「……説明、しろ……」 「……わかった……」 一瞬、深音は泣きそうな顔をした。 そしてすぐ、言葉を紡いだ。 「……何から……話したらいいかな……」 砕けた俺達の絆の欠片が。 一粒ずつ、赤く染まった床に落ち始めた。 この世の終わりを知らせる、砂時計のように。