「あたしやっぱ、ライブはやりたい」
1週間前。
散々説得されて、膨れた深音は言った。
狭いバスタブの中で。
裸で、向かいあわせに座って。
「お願い。
じゃなきゃ、何の為に生きてるかわからない。
もちろん、翼さんと一瞬でも長く一緒にいたいよ?
でも、ただいるだけじゃ、意味がないの。
あたしは、翼さんのベースで歌えて、その途中に死ねるならそれでいい。
そんなの、わかってるはずでしょ?」
わかっていた。
深音は、歌が生きがいである事。
ただ、自分の中で。
歌いながら突然死ぬ事と。
死ぬかもしれないのに、わざわざ歌う事は。
別だと思っていた。
でも、こうしてやっとわかる。
どっちも、同じなのだと。
深音にとっては。
全力で歌う事が一番で。
その他の事は、どうなっても後悔はないのだと。



