「やっぱり、運命?」
「……アホか」
「アホかも」
深音はキュッと、背中に絡まる腕に力をこめた。
「……寒いか?」
「ううん」
「今までみたいに、どうしてほしいとか、ちゃんと言えよ」
「うん……じゃあ、早速お願いしてもいい?」
俺を見上げたのは、いつものおねだり顔だった。
いったいどんなお願いをされるのか、少し怖い。
「何だよ」
「えっと……、ここに住んでいい?」
その目は、俺の心を探っているようだ。
俺が逆らえないのをわかっているくせに。
「……いいけど……学校は?」
「ここからの方が近いの」
「ご両親が、何て言うか……」
「避妊はしっかりね!じゃない?」
「……言わないと思う……」
そうこうしているうちに、深音の母親が到着してしまった。
玄関のベルが鳴る。
「翼さんが説得してね」
「マジかよ!」
「マジです」



