「さっきも言ったけど、ちょっと、悪くなってたの。
きっと、翼さんを騙したバチが当たったんだよ」
「騙しただなんて……
俺が無理させたから……」
「違う。
誰が何と言おうと、それは絶対に、違うよ」
真面目な顔をしたかと思ったら、また悲しい顔で、笑う。
「だって……幸せだったんだもの。
それまで、たまに起きてた発作が、翼さんといる時は、一度も起こらなかったんだよ?
きっと、あたしが幸せだったから、心臓もおとなしくしてくれたんだよ……」
また、涙がポロポロと零れ落ちた。
「でも……もう、やめるね。
バンドも、やめる。
こんな体の女を相手にするんじゃ、翼さんが可哀想。
貴方は優しいから、あたしに何かあったら、死ぬまで自分を責めてしまうもの。
今までありがとう。
本当に、ありがとう。
本当に、短かい間だったけど。
あたしは、確かに幸せでした」



