何でだろう。
何で深音は笑えるんだろう。
受け入れる事ができたから?
しかし、そんな事、本当にできるのだろうか。
「……ごめんなさい。
もう、怖いよね……?」
「…………」
「もう、できないでしょ……?
それが普通だよ」
よほど俺が困った顔をしたのか、深音は悲しそうに笑った。
「ごめんね……ごめんなさい」
「謝るなよ……」
悲しい笑顔は、うつむき、涙を一粒、落とした。
それが俺の胸をしめつける。
「ありがとう、ございました……」
「深音……」
「翼さんのおかげで、幸せな夢が見れた……。
こんなに幸せな事があるって、知る事ができた。
本当に、ありがとう」
「なんだよ、それ……」
涙を流しながら、深音は俺を見つめた。
夕暮れに赤く染まった部屋で。
一緒に食事を採ったソファで。



