「そんなに前から知ってたのか」
「そうよ。
誰だって、自分の病気を他人に明かしたくはないでしょうから、と思って黙ってたの」
なんだ、その自分は優しいでしょみたいなアピールは。
「だから、言ったでしょ。
彼女が、貴方を悲しませるって」
「……お前、あいつの病状わかってるのか」
「知ってるわ。
それは、別の人に調べてもらったんだけどね」
さらり、と答えられた。
また冷たい怒りが腹にぽとりと落ちた気がした。
「別の人って……」
「今は、お金さえ払えば、何でもしてくれる人がたくさんいるわ」
「人に硫酸をかけたりもか」
「いくらなんでも、そんなヤバイ事は、私は頼まない。
他の人は知らないけど」
どこまで、本当なのか。
硫酸事件は、智の犯行なのか。
もう、何を疑い、何を信じていいのかわからない。



