君と、世界の果てで



「……本当の事?」


「病気の事。

知ってるんでしょ?顔が暗いもの」



哀れむような視線に、ますます腹が立つ。



「お前は何で知ってるんだ」


「偶然ね。

陸の葬儀の後、どうにも気分が悪くて、私もこの病院に来てたの。

待ち時間があまりに長いから、売店に行こうと思った。

そうしたら、看護婦さんが慌てて走って行くから。

見たら、あの子が運ばれてた」


「……」


「この病院の常連みたいね。

長く入院してるみたいなおばあさんが、

あの子、心臓病なんだよ、あんなに綺麗なのに可哀想だねって、言ったの。

聞いてもないのに」



その光景を浮かべただけで、胸が潰れそうだ。


葬儀の為に、黒髪に染めた深音。


彼女は病院でも、目立ちたくないのに目立ってしまっていたのだろう。