「あぁ……大変だっただろ。ありがとな」
「着てみて下さいよ」
「は?今?」
「そう。お願い、着てみて下さい。
それで、ギターを弾いて下さい」
「何だ、そりゃ……」
俺は深音に背中を押され、二階に上がる。
そこで無理矢理服を脱がされた。
……逆レイプかよ……。
俺は恥ずかしさを圧し殺して、深音作のシャツに袖を通す。
「良かった。
ぴったりですね」
深音は、満足そうに、胸のボタンをとめていく。
本当に、ぴったりだった。
色も、サイズも、デザインも。
「すげえな……」
「ネクタイもあるんです」
深音が取り出したのは、黒地に例のブランドのマークが刺繍されたネクタイだった。
これは買ったものらしい。
「しめましょうか?」
「届かねぇだろ」
「大丈夫」
深音は背伸びをして、器用にネクタイをしめる。
首に、細い手が回されて。
初めてベースを聞かせた時に、抱きつかれた事を思い出す。



