雨の中急いだから、心配していたけど。
ケーキはなんとか崩れずに、その形を保っていた。
「ガキじゃねぇし、ロウソクはいらねぇか」
「はい。そのかわり……」
「何だよ、まだあるのか」
「Happy Birthdayって歌って下さい」
「それは断る!」
えぇ、と不満をもらす深音に、フォークを渡す。
「面倒くせぇから、そのままつつけ」
深音はケーキを前に、ぱあぁと笑った。
綺麗と言われて気を良くしたのか、眉毛だけを書いた、ほぼスッピンの顔。
おそらく、家族と陸ぐらいしか、見たことはないだろう。
それが、俺の満足感に繋がった。
そんなことはつゆ知らず、深音はいただきます、とケーキをつつく。
「翼さんは?」
「俺は苺が嫌いだ。責任持って、全部食えよ」
「えぇ!?買う時に言って下さいよ!」
いくら深音でもそんなに食べられるわけはなく、やはり半分くらいでギブアップした。
「……満足したか?」
「はい……あっ、そうだ、忘れるところでした」
「あぁ?」



