「できたぞ」
何とか正気に戻り、二人分の夕飯を作り終えた。
すごいな、俺。
「わぁい!」
「いただきますしろ、いただきます」
「いたーだきます」
「よし」
カウンター席に並んで座り、簡単な夕飯をとりはじめる。
シチューに、サラダに、パン。
「悪いな、洒落たものはできなくて」
「ううん、嬉しいです」
深音は先ほどイカの姿焼きを1枚食べたにも関わらず、ぱくぱくと食事をたいらげていく。
……ホントに、体のわりによく食べるな。
まぁ、市販のソースを使ったから、マズくはないだろうけど。
元店舗の家は、それだけで外食の雰囲気になるから不思議だ。
バンドの話や、学校の話をしてるうちに、あっというまに時間は過ぎていく。
「ケーキ、ケーキ」
「へぇへぇ」
食後にコーヒーを淹れながら、ケーキを箱から出した。
何だか本当に、喫茶店のマスターにでもなったみたいだ。
二人でも食べられそうな、小さなホールのケーキが姿を現す。



