駐車場で車を降りると、海が見えた。
海をテーマにした遊園地や、アウトレットパークまである、地元では有名な場所だ。
その中の水族館は、来た事が無かった。
そういえば紗江は、買い物が多かったな。
「あのぅ」
深音が、俺の袖をちょいちょいと引っ張った。
「あたしね、実は……」
「ん?」
「今日、誕生日なんです」
「え?そうなのか?」
こくり、と深音はうなずいた。
「早く言えよ……何も用意してねぇぞ」
「いいの、そんなの。そのかわり……」
深音は俺を見上げると、いきなり、イタズラ娘の顔になった。
げっ。
こいつがこの顔の時は、絶対ろくな事を言わない。
「1日、あたしのお願い、何でも聞いてください」
「……はぁ……?」
待て待て。
いつも聞いてやってるだろうが。
俺が逆らわないのわかって言ってるのか?
「お願い」
ほらきた。
上目遣いの『お願い』だ。



