続いて、ペットボトルのミネラルウォーター。
慣れた手つきで、ケースから薬らしき物を取りだし、水で飲み下した。
「何だ?風邪薬か?」
「サプリメントです」
「へぇ……」
深音はそれをしまうと、次はノートとメジャーを取り出した。
つくづく思うが、女は鞄に物を詰めすぎじゃないだろうか。
「お礼です」
「は?」
「採寸させて下さい」
「……何で?」
「お洋服を、作って差し上げます」
さぁ、と、深音は俺の手を引いて、キッチンからテーブルの脇に連れていく。
「そんな礼されるような事、してねぇから……気使うなよ」
「いいの。一度、メンズ物を作りたかったから」
動かないで、と命令された。
「服、脱いでくれます?」
「はぁ?!」
「この、厚いニットだけ」
あ、そうか。
何故か、緊張するが、しょうがねえ。
ぽい、と服を脱いで、ソファに放ってやった。



