「俺はお前の思い描く、夢の部品には、なれない」 紗江が、両手で顔を覆った。 悪いな。 俺はもう、お前を抱きしめる事はできない。 お前だって、望んでないだろう? 「別れてくれ」 低い声は、まるで他人のもののように。 広いリビングに、虚しく響いて、消えていった。