キメラⅡの無数の触手が次々と『紅い菊』を襲う。それらは確実に彼女の肌を引き裂こうと狙いを定めて繰り出される。しかし『紅い菊』はそれを紙一重のところで交わすためにそれらはむなしく空を食むしかなかった。それでも今のところキメラⅡの方が圧倒的に優位に立っていた。
『紅い菊』は次々と繰り出される触手のためにキメラⅡの懐に入ることが出来ない。そのためにその外側から念を放つしかない。だが、それも触手がすべて受けてしまい、キメラⅡの本体の方には届かない。『紅い菊』は次第に追い詰められていく。しかし、彼女はそれでも笑っていた。その目は死んではおらず一瞬の隙が出来るのを待っていた。
そのうちにキメラⅡの放った触手の一本が『紅い菊』の左腕をとらえた。
彼女の左腕に激痛が走る。
キメラⅡはそれを好期ととらえすべての触手を一斉に『紅い菊』に向かって放つ。
『紅い菊』はこれを待っていた。勝ちを焦る相手に隙が出来るのを待っていた。
『紅い菊』恥面を思い切り蹴り上げると宙を舞い、キメラⅡの背中に飛び乗った。
キメラⅡの触手の動きが止まる。
その瞬間、『紅い菊』は触手の根元をその鋭い爪で思い切り引き裂いた。
「ぎゃあぁぁ」
キメラⅡはこれまで聞いたことのない叫び声を上げた。
その声は無数の獣の声のように辺りに広がった。
どす黒い血が『紅い菊』の全身に降りかかる。
それは彼女の体を喜ばせた。
『紅い菊』は嬉々としてキメラⅡの体を引き裂いていく。
キメラⅡは唯一『紅い菊』をとらえている触手の牙に力を込めていく。
しかし、触手の牙は痙攣し、次第にその力を失っていく。
『紅い菊』は自由な右手で触手の顎を掴むと力を込めていく。
触手はそれに耐えきれず、やがて彼女の腕を放す。
その瞬間、『紅い菊』は両手で触手の口元を掴むと左右に引き裂いた。
もはやキメラⅡを守っていた触手は一本もない。
『紅い菊』はキメラⅡの背中から飛び降りるとその両目に爪を立てる。
キメラⅡから視界が消える。
『紅い菊』はキメラⅡの懐に入り込み、その左前足を引き千切る。
再びキメラⅡの叫び声が響く。
しかし、『紅い菊』は攻撃の手を緩めることなく、その腹部を縦に切り裂いていく。
キメラⅡの結合状態が揺らぎ始め、細かな赤い光が体から離れ始める。
『紅い菊』の瞳が喜びに震える。
「これで最後だ!」
そう叫ぶと『紅い菊』はキメラⅡの首を根元から切り裂いた。
キメラⅡの体は動きをやめ、地面に倒れ込む。
その体が大きく痙攣し、やがてそれも止まる。
そしてもはや結合状態を維持することが出来なくなり、一斉に細かい光が宙を舞い始める。
しかし、それらは自由に舞い飛ぶことは許されず、すべてが『紅い菊』に吸収されていく。
その中で『紅い菊』の中に疑念が広がっていく。
この『もの』の力はこの程度のはずはない。たとえ二つに分かれたとしても、あまりにこちら側の力は少なすぎる。
そこで彼女は悟った。
こちらに残された『もの』は、抜け殻のようなものだということを。
ただ単に自分をここに足止めするためだけの目的であったことを。
本体は向こう側にある。
『紅い菊』は騙されていたことに気づくと両手に拳を作り力を込めていく。
そんな彼女の視界の端に、残された力を振り絞って立ち上がってくる魔鈴と九朗の姿が映った。
「九朗、行け!」
『紅い菊』に命じられるままに九朗は弱々しく羽ばたくとキメラⅠの飛び去った方向に進路をとり飛び立った。
魔鈴はじっと『紅い菊』を見つめている。
『紅い菊』の追跡が始まった。
『紅い菊』は次々と繰り出される触手のためにキメラⅡの懐に入ることが出来ない。そのためにその外側から念を放つしかない。だが、それも触手がすべて受けてしまい、キメラⅡの本体の方には届かない。『紅い菊』は次第に追い詰められていく。しかし、彼女はそれでも笑っていた。その目は死んではおらず一瞬の隙が出来るのを待っていた。
そのうちにキメラⅡの放った触手の一本が『紅い菊』の左腕をとらえた。
彼女の左腕に激痛が走る。
キメラⅡはそれを好期ととらえすべての触手を一斉に『紅い菊』に向かって放つ。
『紅い菊』はこれを待っていた。勝ちを焦る相手に隙が出来るのを待っていた。
『紅い菊』恥面を思い切り蹴り上げると宙を舞い、キメラⅡの背中に飛び乗った。
キメラⅡの触手の動きが止まる。
その瞬間、『紅い菊』は触手の根元をその鋭い爪で思い切り引き裂いた。
「ぎゃあぁぁ」
キメラⅡはこれまで聞いたことのない叫び声を上げた。
その声は無数の獣の声のように辺りに広がった。
どす黒い血が『紅い菊』の全身に降りかかる。
それは彼女の体を喜ばせた。
『紅い菊』は嬉々としてキメラⅡの体を引き裂いていく。
キメラⅡは唯一『紅い菊』をとらえている触手の牙に力を込めていく。
しかし、触手の牙は痙攣し、次第にその力を失っていく。
『紅い菊』は自由な右手で触手の顎を掴むと力を込めていく。
触手はそれに耐えきれず、やがて彼女の腕を放す。
その瞬間、『紅い菊』は両手で触手の口元を掴むと左右に引き裂いた。
もはやキメラⅡを守っていた触手は一本もない。
『紅い菊』はキメラⅡの背中から飛び降りるとその両目に爪を立てる。
キメラⅡから視界が消える。
『紅い菊』はキメラⅡの懐に入り込み、その左前足を引き千切る。
再びキメラⅡの叫び声が響く。
しかし、『紅い菊』は攻撃の手を緩めることなく、その腹部を縦に切り裂いていく。
キメラⅡの結合状態が揺らぎ始め、細かな赤い光が体から離れ始める。
『紅い菊』の瞳が喜びに震える。
「これで最後だ!」
そう叫ぶと『紅い菊』はキメラⅡの首を根元から切り裂いた。
キメラⅡの体は動きをやめ、地面に倒れ込む。
その体が大きく痙攣し、やがてそれも止まる。
そしてもはや結合状態を維持することが出来なくなり、一斉に細かい光が宙を舞い始める。
しかし、それらは自由に舞い飛ぶことは許されず、すべてが『紅い菊』に吸収されていく。
その中で『紅い菊』の中に疑念が広がっていく。
この『もの』の力はこの程度のはずはない。たとえ二つに分かれたとしても、あまりにこちら側の力は少なすぎる。
そこで彼女は悟った。
こちらに残された『もの』は、抜け殻のようなものだということを。
ただ単に自分をここに足止めするためだけの目的であったことを。
本体は向こう側にある。
『紅い菊』は騙されていたことに気づくと両手に拳を作り力を込めていく。
そんな彼女の視界の端に、残された力を振り絞って立ち上がってくる魔鈴と九朗の姿が映った。
「九朗、行け!」
『紅い菊』に命じられるままに九朗は弱々しく羽ばたくとキメラⅠの飛び去った方向に進路をとり飛び立った。
魔鈴はじっと『紅い菊』を見つめている。
『紅い菊』の追跡が始まった。


