彼の目線は、私の手に握られていたポッキーにあった。 ―――ちぇ。 しれっと一人で全部食べてしまおうと思ってたの、気付かれてたんだ。 …仕方ない。 最後の1本、彼に食べさせてあげよう…。 大好きなポッキーちゃん、彼においしく食べられてください。 「…うん、いいよ?」 はい、と私はポッキーを彼の目の前に差し出した。 彼はそれに手を伸ばしてきて、掴んだ。 そして、嬉しそうに 「ありがとう」 と言って、いつものようにほんわかとしたかわいい満面の笑みを浮かべた。 ――――おわり。