「……」 強烈な一言だった。 情けない。 まったく、その通りだ。 「ごめんな。本来上司である僕がチェックしてから送らなくちゃいけないんだけど、僕も忙しくて慌てちゃったから」 「いえ、そんな……」 あたしが大きくかぶりを振ると、 「早く終わらせて帰ろう」 と言って、にんまり笑った。 格好いい。 理想の上司だ。 こんなに優しくて頼もしいのに。 やっぱり資料室にいたあの人は、永瀬課長じゃなかったのかも。 と本気で思ってしまう。