「あの日の放課後、結花を呼び出して別れた」
「別れられたの…?」
結花ちゃんがどれだけ次郎のことが好きなのか誰が見て分かるぐらい結花ちゃんは次郎のことが大好きだった。
「簡単じゃなかった。
でも、あいつも分かってたんだろ…俺が誰を好きなのか」
「…次郎…辛そうな顔しないで」
今度はあたしが次郎の頬を優しく撫でた。
きっと今次郎はその時の結花ちゃんを思い出したのだろう。
次郎は一瞬、微笑むように笑った。
「結花には悪いけど、結花と別れた次の日雛子に俺から告白しようと思ってた」
「…だけど、あたしはもういなかった」
「あぁ…誰に言っても“知らない”って言うし、やっと雛子と連絡が取れたと思ってもバカ雛子は人の話を聞かねーし」
今さっきの微笑みはなんだったのか、いきなり意地悪な顔をして頬をつねってくる。
「いひゃっ、ひろう、いひゃいっ」
「うるせー、このバカ雛子め。
お前が卒業してから、すっげー探したんだぞ?」
「ごみぇんって、いひゃっ」
頬をつねられて言えないけど、あたしの気持ちも分かってほしい。

