「お前はいいよな、言いたいことを言って、さっさと逃亡したんだから」
手の動きが止まる。
「……」
「あれから電話しても着信拒否。
メアドも変えられててメールしても返ってくるし、今俺の怒りのボルテージはMAXだこの野郎」
「痛っ、痛っ、痛いって!」
またグリグリの刑が頭に降りかかる。
「俺の1年半をこの程度で終わると思うなよ」
「頭がジンジンするよ~…」
次郎を睨むと次郎は何故かどや顔であたしを見る。
「おい、雛子」
「なによ」
「お前、まだ俺のこと忘れられてねーだろ」
「は?」
「お前、俺のことまだ好きだろ」
183センチが屈んで顔と顔との距離5センチ。
「なっ、なに言ってんのよ!意味分かんない!」
顔を背けようとすると、顎を掴まれて背くことすらさせてくれない。
「なぁ、雛子」
「な、なによ」
「俺の気持ち…知りたくね?」
次郎は怪しい笑みをする。

