斜め上75度の景色。




「お前はいいよな、言いたいことを言って、さっさと逃亡したんだから」


手の動きが止まる。



「……」



「あれから電話しても着信拒否。

メアドも変えられててメールしても返ってくるし、今俺の怒りのボルテージはMAXだこの野郎」



「痛っ、痛っ、痛いって!」



またグリグリの刑が頭に降りかかる。



「俺の1年半をこの程度で終わると思うなよ」



「頭がジンジンするよ~…」



次郎を睨むと次郎は何故かどや顔であたしを見る。



「おい、雛子」



「なによ」



「お前、まだ俺のこと忘れられてねーだろ」



「は?」



「お前、俺のことまだ好きだろ」



183センチが屈んで顔と顔との距離5センチ。



「なっ、なに言ってんのよ!意味分かんない!」



顔を背けようとすると、顎を掴まれて背くことすらさせてくれない。



「なぁ、雛子」



「な、なによ」



「俺の気持ち…知りたくね?」



次郎は怪しい笑みをする。