「因みにお姉さん、何歳?」
「…先月20歳になった」
浮き輪から降りると静かに男性から離れようと後ろに下がろうとすると腕を掴まれた。
「へぇー…俺は先月19歳になったんだよね」
「そう….なんだ」
まだ、ダメだ。
忘れきれてない。
「久しぶりだな、雛子」
「次郎…」
目の前には1年半年ぶりの次郎がいた。
「なんで、ここに…」
あたしの進路先を知ってるのは友達と担任と親だけ。
みんな口止め済みだ。
「お前がさっさと、県から脱走してから1年半…。
苦労したぞ、コラ」
次郎は笑顔であたしの頭を腕に納めると頭をグリグリしてくる。
「痛いっ、いた、次郎っ痛いっ」
「うるせー、この野郎。テメーのせいで無駄に探しまくっただろーが」
「…だから、別に探さなくていいのに」
反対に探して欲しくなかった。

