「あっつ…ねー、もう帰ろうよ」
「ダメっ!雛子もあたしも彼氏いないんだから、絶対作って帰ってみせるんだから!」
「海での出会いなんて……一夏だけだよ」
真っ青な空を見上げながらあの時の夏を思い出す。
『ねぇ、俺と一緒に遊ぼうよ』
「あの笑顔に…やられちゃったんだよな…」
「ん?なに?雛子、何か言った?」
「…ううん、何でもない」
浮き輪を持って立ち上がる。
「あたし、海に入ってくるね」
「そう。あたしはもう少し休んでから行くわ」
大学の友達を置いて、海に入る。
「気持ちいい~…」
やっぱり夏は海だな。
浮き輪の上に座って目を閉じて海の流れに身を任せる。
あー…この時間が続けばいいのにな。
自然に流れていた浮き輪がいきなり止まった。
「えっ、何!?」
目を開くと、目の前には笑顔の男性。
「え…」
「ねぇ、俺と一緒に遊ぼうよ」
「な、んで…」
ここにいるの?

