斜め上75度の景色。












何回も手の中で震えるスマートフォン。


画面には大好きな人の名前。




出るか出ないか迷って、[通話]にタッチした。




「はい」



《おいっ、雛子!なんで、お前卒業式出てねーんだよ!》



「次郎、昨日ぶりだね…」



《そんなこと今はどーでもいーんだよ!
雛子、今どこにいんだよ!》



「…どこだと思う?」



《は?》



「もう…行く大学がある県に引越したの」



《じゃあ…お前は》



「うん、昨日は卒業証書取りに行って来たの」



《なんだよそれ…なんで今日来なかったんだよ…明日からでも行けただろ》



次郎の切ない声に涙が流れる。


「もう….限界だったの」



《限界…?》



「もう….彼女がいる次郎を見たくなかった。
もう、次郎の側にいたくなかったの」



会うこともないし、今まで隠していた感情を露話にする。