あ…。


10メートル先に大きな背中。




最初は少し早歩きして、あと3メートルぐらいの距離まで行くとゆっくり歩いて気づかれないように近づく。



そして、



「おっはよ!」


背中を勢い良く叩く。


「いてっ!….なっ、ハァ…雛子か」



次郎はため息をつきながらあたしの頭を優しく撫でる。


そんな次郎の動作にドキドキしてしまう。


「また雛子って…あたし、年上だよ?」


きっと顔は真っ赤になってるから、視線は下に落とす。




「…雛子は雛子だっつーの」



「またっ…」


反論しようと顔を上げると、次郎は舌を出して笑っていて、その姿にまた胸がときめく。