斜め上75度の景色。




木曜日の6時間目、2年1組の男子は体育。


毎月小細工をして窓際の列の席をGETしてはこの景色を見ていた。



「じろーー!パーーーース!」



「うるせー!」



「うるせーとはなんだよ!俺にもパスくれよ!」



「お前にパスしてもゴールできねーだろーが!」



「本当のことを言うなよ!」



「あははははっ!次郎頑張れー!」



「おう!」



「ちょっ、おい!矢恵!次郎以外にも応援しろよ!特に俺!」



「鉄平は黙って次郎のサポート役をしときゃーいーのよ」



「なんだとー!?」





同級生と話す次郎。

同級生の女の子と話す次郎。


先輩と後輩のあたしにはない距離と空間。



それがどんなに羨ましかったか…。




「もうダメだね…」


静かに腰を上げると、鞄を持って裏門から学校を出た。



最後くらい正門を通って出たかったけど、グラウンドの横は歩けない。








「さよなら、次郎」