木曜日の6時間目、2年1組の男子は体育。
毎月小細工をして窓際の列の席をGETしてはこの景色を見ていた。
「じろーー!パーーーース!」
「うるせー!」
「うるせーとはなんだよ!俺にもパスくれよ!」
「お前にパスしてもゴールできねーだろーが!」
「本当のことを言うなよ!」
「あははははっ!次郎頑張れー!」
「おう!」
「ちょっ、おい!矢恵!次郎以外にも応援しろよ!特に俺!」
「鉄平は黙って次郎のサポート役をしときゃーいーのよ」
「なんだとー!?」
同級生と話す次郎。
同級生の女の子と話す次郎。
先輩と後輩のあたしにはない距離と空間。
それがどんなに羨ましかったか…。
「もうダメだね…」
静かに腰を上げると、鞄を持って裏門から学校を出た。
最後くらい正門を通って出たかったけど、グラウンドの横は歩けない。
「さよなら、次郎」

