「お前が卒業第1号だな。
あと明日、名前は呼ぶから。って来ないお前に言ったってもだけどな」
「……じゃあ、あたし帰ります」
「あ、あぁ。箱田、元気で頑張れよ」
「はい…先生、今までありがとうございました」
丁寧にお辞儀をする。
「さよなら、先生」
「おう、またな」
静かに職員室を出た。
そして、向かったのは3年2組の教室。
「うわっ、やっぱり開いてると思った」
一か八かで教室に行ってみるもんだな。
「さすがだ、あの担任…鍵掛けるのめんど臭かったんだな」
教室に入ると、冷たい空気が体に応える。
「寒いな~…」
窓際に歩いて行くと、グラウンドでは2年生がサッカーをしていた。
「……やっぱり、かっこいいな」
ゆっくり椅子に座ってカーテンで体を隠してグラウンドを見つめる。

