「次郎、今までありがとね」
「……バカ雛子が」
「先輩にバカとか言うな。…じゃあ、あたし先生に用事あるし、次郎はこれから授業でな」
ゆっくり次郎の頭から手を離す。
「じゃあね」
「おぅ…また明日な」
明日は卒業式。
当たり前に2年生も出席する。
あたしは笑って次郎を見ると、降り返って屋上を後にした。
「雛子っ」
ドアを閉める瞬間、次郎の声は聞こえてない振りをした。
頬に流れるものにも気づかない振りを
できる訳もなく、近くのトイレに入ってずっと涙を流し続けた。
『なんで今さらになって言うんだよ…』
ねぇ、次郎。
あの時、あたしが勧めなかったらあなたの彼女は誰になっていたかな?

