――明後日。
さすがに部屋は予約してないが、ホテルのレストランは押さえた。
もしあいつが来なかったら、一人で待ちぼうけくらった上に、それこそ寂しいクリスマスイブを過ごす事になる。
――でも、待ってるからな。
俺はすがるような情けない気持ちで、あいつの家を出、明後日を待つ事にした。
当日は、メチャクチャ寒かった。
俺は待ち合わせ場所のヒルズの正面入り口で、あいつを待っていた。
既に一時間近く、待たされていた。
――今日は絶対にコクる。
そんな強い想いで、夏から付き合っていた女と別れた。
――今日で二十歳だから、今までの自分にカタつける。
そう、ずっとあいつへの気持ちを他の女で誤魔化してきた。
毎年違う女と、それなりに楽しいクリスマスを過ごしてきたけど、心の片隅にいつも、あいつがいた。
『あいつ、今頃ケンタにがっついてんのかな』
とか、ついつい考えてた。
だけどもう、そんな半端は終わりにして、今年は心から、真面目に、あいつと……。
「……さぶっ」
北風が容赦なく身体を抜け、頬を刺す。
――くっそ、あいつ、何やってんだよ!