突然、俺は激しい耳鳴りに襲われた。

「お前に力をやろう…しかしタダというわけにはいかない等価交換だ。

「お前の真に志を貫くその姿を見せてもらおうぅ……」

俺は、ふと気がつくと時刻は夜の10時を回っていた。

起きた時、すでに記憶は曖昧だった。

俺は、とにかく今やらないといけない…そう思い

家を飛び出した。周辺の雰囲気は昼とは全く違かった。

星は…こんな都市部じゃ見ることはたぶんできないだろう。

空を仰ぎながらそんな事を考えていた。

冷たい夜風が俺を襲う。俺は一瞬考えることをやめた。

というより、冷静になった。

考えてやるよりも流れに身を任せてみるか。

こんな答えを導き出した俺は、家に戻り深い眠りについた。

 ウィーーーーン…サイレンの音?

やけに外が騒がしい。俺は、窓から外をみる。

な……俺は声も出ないほど驚愕した。

この大都市が火の海ではなかろうか。

この出来事の事の発端はたぶんあの高い建物の上に立っている奴のせいだろう。

奴は、いったい誰なのだろう。

とにかく今は逃げなくては……いやこのままほっとくわけにはいかない。

そんな思考に至ってしまった俺は、奴のもとへ向かった。

そして、奴の元へ着くと奴の正体を知ることになる。

「遅かったな。神風将人。お前が来るのを待っていた。」

なぜ、俺の名前を知っているんだ。ふと、疑問に思う。
「お前は誰だ。」

俺がそう聞くと奴はゆっくりと口を開く。

「俺は、宇城亮平(うじょう・りょうへい)だ。」

「この世界を変えるためにこうして動いているわけだ。」

俺は、激しい怒りの感情を抱いた。

これは、世界を変えているんじゃない。世界を…この世界を壊しているのだと。

ふざけるな。こんなことして何になる。

俺は、怒りを抑えきれず宇城に飛びかかった。

一瞬にして、俺の左腕が飛んだ。激しい痛みに襲われ、俺は地面にうずくまる。

しかし、俺は立ち上がった。そして宇城を睨んだ。

宇城は、呆れた顔をして目の前から消えた。

後ろを振り向くと…もうすでにその拳は俺の顔を捉えていた。
宇城の口が若干動いた気がした。

それが俺には、

「雑魚はとっとと死ね」というような口調に思えた。

しかし、抵抗できずに思いっきり殴られた。

っと…瞬間視界が開けた。強い日差しが俺を襲った。

俺は、全身に滝のような汗をかいていた。

夢……なのか。

俺は、少し混乱状態に陥った。

あれは、いったいなんだったのだろうか……と。

とにかく今やらなきゃいけない事は、学校へ行くことだ。

俺は、朝食を済ませ、いつもの待ち合わせ場所へ向かう。

今日は、三浦がすでにいた。後々、河内とロレンスが来た。

いつものように学校へ行き、途中で河内とロレンスと別れる。

授業は、相変わらず念力についてと実戦演習ばかりだ。

準備体操をしっかりとやってからの実戦演習。

この間のようにはうまくいかないだろう。

そう思いながら、実戦用ロボットと向き合う。

集中だ。集中しろ俺。そう心中で唱え深呼吸をする。よし、やってやる。

ウィーーーーーン。ロボットの起動音。

ロボットが動き始めるのとほぼ同じタイミングで

俺はロボットの懐へ入り、まず胴体へ大きな一発。

もういっちょ……そのときロボットの右腕が俺を振り払う。

飛ばされはしたがまだいける。

俺は、必死にロボットに向かっていく。拳、一発一発に力を込めて。

いつの間にかロボットの胴体は大きくへこんでいた。

最後にこれまでにない力でロボットの頭に渾身のパンチを一発入れたところで、

俺の実戦演習は終わった。

 俺は、ひどく疲れているようだ。体が重い。

しかし、どうだろうか…だんだん念力を使うのにも慣れてきた。

そんなことを考えながら放課後俺は、家の近くにある河川敷の芝に身を投げ出す。

少々痛かったが気にしなかった。

何かから解放されたかのような心地よい風が肌をなでた。

こんなに心地よい風はいつ以来だろうか…。

そう考えると、長い間全然風なんか相手にしてないなぁ…と

なんだか昔を思い出した気がする。

そういえば、俺が小学生低学年の時に中学年の生徒にいじめられていたことがあった。

そんな時、よくこの河川敷で悔しくて一人泣いていた。

でも、この心地よい風が自分の心を慰めて或いは、癒してくれたものだ。

この風には、何の意味もないがいつも一人の自分にとってはとても大切なものだった。

それこそ、大袈裟に言うと友達に近いものだと思っていた。

嫌なことがあってはこの河川敷に来て泣いていた。

今から思うと、少し恥ずかしい話だが。

でも、そのうちその河川敷にはあまり足を運ばなくなった。

中学年になり友達もたくさんできた俺は、毎日友達と遊びまくり。

ふざけ合いや時には、喧嘩もした。

そうしてだんだんと精神的にも身体的にも成長した。

そのせいか、俺はいつの間にかこの風の心地よさを忘れてしまったのだろう。

だが、今思い出した。

本当に心地よくて安心できるこの風…本当に懐かしい。

とここで、そろそろ家に帰ろうかと思った時にはもう既に日は沈んでいた。

家に帰りシャワーを真っ先に浴びた。

そして、夕飯はたっぷりと食べた。

やはり、疲労は結構ギリギリまできていたようだ。

俺は、ベットに横たわるとすぐに目の前が暗くなった。

そして、強い日差しが俺を襲った。

もう朝かというように朝食を済ませて、いつも通り変わらぬ時間に集合場所へ。

なんだか頭が冴えないなぁと思い、頭をポコポコ叩いてると若干笑いながらロレンスが来た。

それに連なるように三浦と河内がきた。

思い返せば、いつからだろうか。この風景が見られたものになったのは…。

そんな事を考えていたら、いつの間にか学校についていた。

 今日の授業は、いつも通りの実戦演習だと思っていたがどうやら違うらしい。

「今日やることはこれからに深く関わることだからしっかりやること」

さぁ、果たしてなにをやるというのか…軽い緊張が走る。

(何がくるんだいったい……)

「今日は、念力の属性について説明する」

なんだそれ?念力に属性なんてあったことは俺自身いや、

ここに居る全員が知らないんじゃないか?

とりあえず、説明を聞かなきゃわかるものもわからないか。

 俺は、そう思い説明を聞くことにした。

どうやら、念力には大きく分けて5種類の属性がある。

1つ、とてつもない電撃、雷撃を繰り出せる雷電系。

2つ、マグマのような豪火を操る火炎系。

3つ、凄まじい威力を秘めている氷擊、水撃を操り、癒しの能力を持っている水氷系。

4つ、草や木、土を操れ、癒しの能力を持っている大地系。

5つ、どれにも属さない特別な能力を持っている特異系。


これらの相性は、次の通りだ。

雷電系は、水氷系に強く、大地系に弱い。

火炎系は、大地系に強く、水氷系に弱い。

水氷系は、火炎系に強く、大地、雷電系には弱い。

大地系は、水、雷電系に強く、火炎系には弱い。

特異系は、様々な能力としか言えない。

相性は以上。

でも、自分はいったい何系なのか?調べ方とかあるのか?という、当然な疑問が湧いた。

そんな時、教師は調べる方法を俺たちに告げた。

正確な調べる方法はまだ、見つかっていない……と。

ただ、才能やイメージを持つことが一番の能力取得方法ということだ。

実際、これを言われても、どんなイメージをすれば能力を取得できるのかわからない。

かといって、才能があるわけでもない。

そこで、今日やることは能力取得のためのイメージトレーニングをするらしい。

早いとすぐにコツを掴んでごくわずかな力だが出せるようになるという。

ここで俺は、その「早い組」に入るであろう奴を一人は知っている。

いつも、冷静でかつ自制御できないほどの力をひめている…。

そう。そいつの名前は、三浦零斗。こいつは、才能があると思う。

これは、あくまでも俺のカンにすぎない。

当たるかもしれないし、当たらないのかもしれない。

そんな事を考えながら、いざイメトレスタート!

俺は、やっぱ炎だろ!

自分で言うのはなんだがこうみえて、情熱的だ。

しかし、良いイメージが掴めない。

なんか曖昧な感じがする。