私の名前は、唐住摩衣子(からすみまいこ)
私は、昔から友達と言える友達はいない。
皆、私を避けているような気がする。
私が片目ずつで色が違うからなのだろうか。
いつも一人ぼっちだった私は話し相手だけでも欲しかった。そう昔の事を思い出していた。
そんな時、ふと声をかけてくれた私と同い年ぐらいの女の子と出会った。
彼女の名前は、風野闇子(ふうの あんこ)というらしい。
正直、この時おかしいと思ってしまった。
私に声をかけてくる人はほとんどいないのに…物好きな人もいたものだと。
でも、彼女には自分と同じようなものを感じた。なんというか、近寄りがたいオーラを放って
いる。彼女の顔には青白さがある。
本当に大丈夫なのだろうか。私がそんなことを考えていると彼女が顔を覗いてきた。
私は、びっくりした。彼女が言った。
「あなたも…一人?」
「そう…だけど」
「なら同じだね」
なんというのか、共感された?いろいろなことを瞬時に考えてしまった。
その思考時間を割くように彼女は言葉を続けた。
「お友達になってくれない?」
この時、本当に驚愕したのだ。
しゃべり口調は、至極冷淡?というのか、どこか冷たさがあった。
もちろん私にとって初めてのことだったので断るはずもなかった。しかし、本当に物好きな人
だな。私は、なぜ声をかけたのか不思議でたまらない。見知らぬ人に声をかけるなんて、私に
は到底できない。正直、彼女を尊敬してしまいそうだ。本当に肝が据わっているというのか、
勇気があると思った。
私たちは、しばらくの間、お互いについて軽く自己紹介をした。その時間は、長いようで短か
った。
話を聞いた限り、どうやら彼女は、隣町から親の都合で引っ越してきたらしい。
闇子とは、ほとんど同じだったようだ。
本人曰く、友達もなく、毎日をほぼ一人で過ごしているという。
やはり、いじめにはあっていたようだ。
私とおなじで、毎日が暗い日々だったという。
似た者同士だと思った。私たちは、お互いをよく理解し合える関係になるだろう。
毎日が退屈だった日々から抜け出したのだ。
それは、闇子も思っているに違いない。
私たちは、あっという間にお互いの距離を縮めた。
闇子に出会ってから一週間が過ぎようとしていた。
偶然なことに闇子は私の通っている烏山(からすやま)中学校に転入してきたのだ。
そして、幸運なことに同じクラスにもなれた。
私と闇子は学校でも放課後も飽きずにいろいろなことを話した。
周りの目なんてもう気にならない。私には、闇子がいる。そう思って、存分に話をした。
そのあと、闇子は毎回笑うのだ。
何かと思って聞いてみた。
そうしたら、そんな必死になっちゃって。もっと落ち着いて話しなよ。
そう言った時、闇子には、普段のあの冷酷さはなく、とても可愛らしく見えた。
私は、ここでやっと気づくのだ。闇子はこんな顔も持っているのだ…と。
新しい発見をしたかのように、目を点にしていると、
「急ぐ必要ないよ」
と優しさ溢れる言葉をいただいた。
私たちは、お互いの顔を見合い笑った。
そうだよね。急ぐことなんてないよね。ゆっくりでいいんだよね。
そういい、また私たちは笑った。
これまで、笑ったことなどほとんどなかった。
でも、今は闇子と出会えたおかげでこうして話せるし笑える…まるで夢を見ているようだ。
学校生活も前に比べると良くなった。
私も闇子も体育の授業だけはちょっと苦手だ。
それ以外は、特に問題はない。
しかし、毎日のこの空間が一転した…ある出来事が起きたがために……。
それは、闇子の母親が他界したことだ。
数日、闇子が休んでいたため先生に聞いてはじめて知ったのだ。
私は、闇子の母親も父親も見たことがない。
それでも、闇子の友達としてすごく心配だ。
とにかく私は、闇子にメールをすることした。
内容は、大丈夫?精神的につらいと思うけど、
私がいるよ。というものにした。
返信では、「ありがとう。私は、大丈夫。」
と帰ってきたが私は会って話がしたいと言った。
そして、私たちは、はじめて出会ったあの河川敷で待ち合わせをした。
暗闇から闇子が現れた。闇子は、真っ青な顔つきになっていた。
なにか悪いものでも見たかのように冷や汗らしきものも見られる。
でも、私の目には他の物も映ったのだ。
闇子その隣の人誰?と聞くと闇子はいっそう顔を真っ青にし、
「やっぱり摩衣子にも見えるんだね。そう、これ私のお母さんだよ。」
と言われた瞬間、ものすごい寒気を感じた。
私は、戸惑いながら闇子に説明を求めた。
どうやら私たちは霊が見えるらしい。
よく状況がよく飲み込めないがこれが現実なのだろう。そして、私は聞いた。
闇子のお母さんは、いったいこれからどうなっちゃうの?
答えは返ってこなかった。
きっと、闇子自身も何が起こっているのかわからないのだろう。
ひとまず、今はそっとしておいてあげよう。
明後日ぐらいからは学校にも来れるようになるらしい。
私は、家に帰り、部屋にこもり考えた。
私と闇子に何が起きているのか。なぜ、私と闇子に例が見えるのか本当に不可思議だ。
そして、私たちに何ができるのか。
霊を成仏させればいいのか?悪霊を追い払えばいいのか?はたまた、放っておくのか?
様々な思考を頭の中でシミュレーションする。
何をするにしても、今の私に到底できることではない。
思いつめたかのようなため息をつき、外を見ると、そこには広く深い闇が広がっていた。
光で照らしてもその光が小さく見えるほど…。光が本当にちっぽけに見えてしまう。
まさに、この広く深い闇は今悩んでいることと同じようなものだと思う。
全く先が見えず、希望の光が見えたとしてもそれさえも飲み込んでしまう。
今、この世界に起きていることは、もしかしたら私たち人間では解決できないのではないの
か。
広く深い闇は私にネガティブな考えをいつの間にか植え付けていたのだろうか。
私は、そのネガティブな考えに頭を振り、ポジティブな考えをしようとした。
しかし、これまでポジティブな考えをしたことがほとんどない私だ。いきなりそんなことがで
きるのかといえば、それはおそらく無理だろう。でも、少しは変われた。
ネガティブな考えしか頭に思い浮かべられないのとほぼ等しい私。
そんな私に光をくれたのは、闇子だ。
闇子が友達になってくれたことで私は、少しずつではあるが明るくなってきた。
そんな闇子が今、悩んでいる……。私に今できること…。
それを考えると、すぐに出てきた答え。
そう。私に今できることは、闇子を少しでも元気づけることだ。
元気づける方法は、考えてないが私には闇子を元気づけられる自信があった。その自信がどこ
からきているのかは私にもわからないが、似た者同士の私たちだ。きっとなんとかなるだろ
う。
私は、昔から友達と言える友達はいない。
皆、私を避けているような気がする。
私が片目ずつで色が違うからなのだろうか。
いつも一人ぼっちだった私は話し相手だけでも欲しかった。そう昔の事を思い出していた。
そんな時、ふと声をかけてくれた私と同い年ぐらいの女の子と出会った。
彼女の名前は、風野闇子(ふうの あんこ)というらしい。
正直、この時おかしいと思ってしまった。
私に声をかけてくる人はほとんどいないのに…物好きな人もいたものだと。
でも、彼女には自分と同じようなものを感じた。なんというか、近寄りがたいオーラを放って
いる。彼女の顔には青白さがある。
本当に大丈夫なのだろうか。私がそんなことを考えていると彼女が顔を覗いてきた。
私は、びっくりした。彼女が言った。
「あなたも…一人?」
「そう…だけど」
「なら同じだね」
なんというのか、共感された?いろいろなことを瞬時に考えてしまった。
その思考時間を割くように彼女は言葉を続けた。
「お友達になってくれない?」
この時、本当に驚愕したのだ。
しゃべり口調は、至極冷淡?というのか、どこか冷たさがあった。
もちろん私にとって初めてのことだったので断るはずもなかった。しかし、本当に物好きな人
だな。私は、なぜ声をかけたのか不思議でたまらない。見知らぬ人に声をかけるなんて、私に
は到底できない。正直、彼女を尊敬してしまいそうだ。本当に肝が据わっているというのか、
勇気があると思った。
私たちは、しばらくの間、お互いについて軽く自己紹介をした。その時間は、長いようで短か
った。
話を聞いた限り、どうやら彼女は、隣町から親の都合で引っ越してきたらしい。
闇子とは、ほとんど同じだったようだ。
本人曰く、友達もなく、毎日をほぼ一人で過ごしているという。
やはり、いじめにはあっていたようだ。
私とおなじで、毎日が暗い日々だったという。
似た者同士だと思った。私たちは、お互いをよく理解し合える関係になるだろう。
毎日が退屈だった日々から抜け出したのだ。
それは、闇子も思っているに違いない。
私たちは、あっという間にお互いの距離を縮めた。
闇子に出会ってから一週間が過ぎようとしていた。
偶然なことに闇子は私の通っている烏山(からすやま)中学校に転入してきたのだ。
そして、幸運なことに同じクラスにもなれた。
私と闇子は学校でも放課後も飽きずにいろいろなことを話した。
周りの目なんてもう気にならない。私には、闇子がいる。そう思って、存分に話をした。
そのあと、闇子は毎回笑うのだ。
何かと思って聞いてみた。
そうしたら、そんな必死になっちゃって。もっと落ち着いて話しなよ。
そう言った時、闇子には、普段のあの冷酷さはなく、とても可愛らしく見えた。
私は、ここでやっと気づくのだ。闇子はこんな顔も持っているのだ…と。
新しい発見をしたかのように、目を点にしていると、
「急ぐ必要ないよ」
と優しさ溢れる言葉をいただいた。
私たちは、お互いの顔を見合い笑った。
そうだよね。急ぐことなんてないよね。ゆっくりでいいんだよね。
そういい、また私たちは笑った。
これまで、笑ったことなどほとんどなかった。
でも、今は闇子と出会えたおかげでこうして話せるし笑える…まるで夢を見ているようだ。
学校生活も前に比べると良くなった。
私も闇子も体育の授業だけはちょっと苦手だ。
それ以外は、特に問題はない。
しかし、毎日のこの空間が一転した…ある出来事が起きたがために……。
それは、闇子の母親が他界したことだ。
数日、闇子が休んでいたため先生に聞いてはじめて知ったのだ。
私は、闇子の母親も父親も見たことがない。
それでも、闇子の友達としてすごく心配だ。
とにかく私は、闇子にメールをすることした。
内容は、大丈夫?精神的につらいと思うけど、
私がいるよ。というものにした。
返信では、「ありがとう。私は、大丈夫。」
と帰ってきたが私は会って話がしたいと言った。
そして、私たちは、はじめて出会ったあの河川敷で待ち合わせをした。
暗闇から闇子が現れた。闇子は、真っ青な顔つきになっていた。
なにか悪いものでも見たかのように冷や汗らしきものも見られる。
でも、私の目には他の物も映ったのだ。
闇子その隣の人誰?と聞くと闇子はいっそう顔を真っ青にし、
「やっぱり摩衣子にも見えるんだね。そう、これ私のお母さんだよ。」
と言われた瞬間、ものすごい寒気を感じた。
私は、戸惑いながら闇子に説明を求めた。
どうやら私たちは霊が見えるらしい。
よく状況がよく飲み込めないがこれが現実なのだろう。そして、私は聞いた。
闇子のお母さんは、いったいこれからどうなっちゃうの?
答えは返ってこなかった。
きっと、闇子自身も何が起こっているのかわからないのだろう。
ひとまず、今はそっとしておいてあげよう。
明後日ぐらいからは学校にも来れるようになるらしい。
私は、家に帰り、部屋にこもり考えた。
私と闇子に何が起きているのか。なぜ、私と闇子に例が見えるのか本当に不可思議だ。
そして、私たちに何ができるのか。
霊を成仏させればいいのか?悪霊を追い払えばいいのか?はたまた、放っておくのか?
様々な思考を頭の中でシミュレーションする。
何をするにしても、今の私に到底できることではない。
思いつめたかのようなため息をつき、外を見ると、そこには広く深い闇が広がっていた。
光で照らしてもその光が小さく見えるほど…。光が本当にちっぽけに見えてしまう。
まさに、この広く深い闇は今悩んでいることと同じようなものだと思う。
全く先が見えず、希望の光が見えたとしてもそれさえも飲み込んでしまう。
今、この世界に起きていることは、もしかしたら私たち人間では解決できないのではないの
か。
広く深い闇は私にネガティブな考えをいつの間にか植え付けていたのだろうか。
私は、そのネガティブな考えに頭を振り、ポジティブな考えをしようとした。
しかし、これまでポジティブな考えをしたことがほとんどない私だ。いきなりそんなことがで
きるのかといえば、それはおそらく無理だろう。でも、少しは変われた。
ネガティブな考えしか頭に思い浮かべられないのとほぼ等しい私。
そんな私に光をくれたのは、闇子だ。
闇子が友達になってくれたことで私は、少しずつではあるが明るくなってきた。
そんな闇子が今、悩んでいる……。私に今できること…。
それを考えると、すぐに出てきた答え。
そう。私に今できることは、闇子を少しでも元気づけることだ。
元気づける方法は、考えてないが私には闇子を元気づけられる自信があった。その自信がどこ
からきているのかは私にもわからないが、似た者同士の私たちだ。きっとなんとかなるだろ
う。


