† of Pupil~瞳の魔力

大木高等学校一年二組の生徒。鈴原香澄の名字が違う弟。大竹幹の幼馴染み。第三の目を持つ者――つまりは、六条賢一。

だけど、そんなものを一二三さんは答えとして望んでいるんだろうか。

直感に過ぎないのだけど、違う気がする。

彼女が欲している言葉は、だれしもが知っていることや、見てわかること以上の、なにか。

だけど、そのなにかが僕には――

「――ん? あれ?」

ふとそこで、彼女があまりに平然としているせいで、大事なことを失念しているのに気付いた。

僕が彼女をどう呪ったのかという疑問よりも大きく、重要なこと。

「一二三さん、ごめん――その前に質問があるんだ」

自分のペースを乱されるのは嫌いそうな彼女は、案の定。

「……なに」

些細な小石に躓いたような顔をしていた。

ああ腹立たしい。小石のくせに、躓かせやがって。

……そういう顔だった。