† of Pupil~瞳の魔力

ははっ、と、デュオが笑う。彼は幹のしゃがんでいるフェンスのそばへ行くと、袖を通している修道衣を脱いだ。

「下りておいで、大竹くん。今日は特別、君になにか注意しに来たわけじゃない。ほら、これをあげるから、変身を解いたらどうかな? いつまでもその格好というのもなんだろ?」

脱いだ修道衣の下は、いったいどういう構造になっているのか、まったく変わらない修道衣。き、金太郎飴式だ……。

幹がフェンスから下りる。野生の獣が人間からの餌を警戒するように、恐る恐る、修道衣へ手を伸ばす。

今の幹にとって、デュオは胸に届く程度の身長。そんな相手にびくびくと怯える姿は、変な愛嬌があった。

「今日は、ボクじゃないのか」

「そう、君じゃない。被害妄想はよくないよ、精神に異常をきたす。もっとポジティブにいようよ、大竹くん。人生は短いけど、一秒は長いんだから」

「……」

長い鼻にしわを寄せた仏頂面で修道衣を受け取った幹は、肩からそれを羽織った。

ただし、あまりにもサイズが小さい。

肩掛けマントみたいだと思った――その前で、幹の輪郭がしゅるしゅると縮小していく。

やかて、その大きさは僕よりやや小さく。